妊婦さんに優しい宿を目指して^^
久々のブログ更新!
昨年は大涌谷の噴火騒動で、皆さんにご心配をおかけした箱根。
おかげさまで、やっと平穏な毎日を送れるようになってきました。
(残念ながら大涌谷への立ち入りは未だ制限中。もう少しかな。)
騒動の渦中、少し思うところがあって、気軽に書いたブログが
予想をはるかに上回る反響に、ビビったというのが、ブログ更新を
怠った理由でしょうか(笑)
皆さんにSNSをとおして拡散いただいたおかげで、
3日で10万を超えるアクセス。賛否両論飛び交う異様な感じでした。
コメントもたくさんいただいたのですが、もともと非公開の設定だったので
いいコメントもその逆もそのままにせざるを得ず、
わざわざコメントをいただいた方、ごめんなさいでした。
7割ぐらいは応援をいただいたと前向き解釈^^
そんなこんなである意味時間もあったので、
以前から力を入れている「妊婦さんの癒し旅」について
いろいろ考えることもできました。
当館の「妊婦さんの癒し旅」。結構先駆け的な感じで
2012年からやっていたので(感覚としては日本で4番目、
箱根で1番に取り組んだという自己分析)、
お客様はもとより、他の宿の方からもたくさん質問をいただいています。
たまたま応募できる企画もあったため、
「何で始めたんだっけ?」を整理してみる機会として、
応募してみたところ、ありがたく賞をいただいちゃいました。
その応募した時の文書を、ブログ末尾に載のせておきます。
超長文なので、読まない方が・・・。
積極受け入れを始めてから、おかげさまで延べ1000名を超える妊婦さんが
癒し旅にお越しになってくれています。
その中で唯一、ご滞在中に破水してしまった方がいらっしゃいました。
もう30週は越えていましたが、まさに「切迫早産」。
救急車で病院にお連れして、48時間の安静の後、そのまま分娩へ。
後日ご主人から「無事に」という一報を頂戴し、安堵しましたが、
おそらくその後はママもパパも、赤ちゃんも大変だっただろうなと
いつも頭の片隅にあったわけです。
そんなご縁のファミリーから、再訪のご予約が!!!
私は家族でもないですし、たった数十時間のご縁でしかなかったのですが、
ご予約の備考欄に「1歳の子供と一緒に宿泊します」というコメント。
おじさん、ドキドキが止まらないんですけど!!
おげさかもしれませんが、初めて我が子を見る時に近い心境。
まだお会いする前から、勝手に感動してしまっているわけです(笑)
妊婦さんの受け入れ、もっと加速していこうと思います。
***ここから下は応募書類です***
<活動の目的・内容>
高齢化、人口の減少が進む日本の社会において、レジャーニーズ、いきがいの多様化、資源の高騰なども相まって宿泊産業を取り巻く環境は年々厳しさを増している。加えて装置産業であるこの産業では、めまぐるしく変わる美的ニーズに合った恒常的な投資にも限界があり、頭を悩ます施設が多い現状にある。当館においても類に違わず、また固有の問題としてリピーター利用率40%程度で推移してきた運営環境においては、リピーター層の高齢化と次世代層へ継承が急務な状況であった。
このような背景から、全方位的顧客層へのアプローチを主軸とする営業方針を改め、セグメントしたニーズ、特に顧客の「ライフスタイル」に寄り添った、施設、設備に過度に頼らずソフトをベースとした「お客様への過ごし方の提案」を新たな運営基軸に据え取り組んでいる。もちろんライフスタイルも多岐にわたるものだが、「お客様の時間を預かり、素敵に演出する」ことが私どものモットーであり、これに即し、新たな得意分野を作ることが重要と考え、様々な候補から「妊婦さんの積極的な受け入れ」を選択し取り組みを始めた。
昨年、温泉の禁忌事項から妊娠中であること(特に初期、晩期)が外れることで話題に上ったが、もともと妊婦さんの中では温泉への旅行は避けるべき対象と長く社会に認知されてきた。また禁忌事項から外れた後でも、長湯への危険性、大浴場などで人目に触れることの恥ずかしさなどから、成長路線とはいかず、まだまだ「優しくない」ジャンルでもある。
一方で妊娠は疾患ではもちろんなく、また、体調の変化、様々な行動への制限や、今後の子育てへの不安等から、妊娠中はストレスが溜まりやすく、本来やすらぎを求め「余暇」を目的とする旅行は、制限がないのであれば絶好のリフレッシュツールでもある。そして何よりも、人のあたたかさや、おもいやりを感じやすく、それを必要とする時でもあるこの時期に、プロである宿の手はまさに腕の見せ所でもある。
当館においては、「出産前の癒し旅」をテーマに2012年3月より「マタニティプラン」の販売開始とともに、「妊婦さんが安心して泊まれる宿づくり」をスタートさせた。上記の様々な不安を払しょくし、できるだけ旅行に出やすくなるよう後押しを進め、WEBサイトやそれに派生して掲載の申し出が来る雑誌などへ積極的に発信を行ってきている。当館では上記の禁忌事項の指針改定もひとつのターニングポイントとして捉え、2014年4月より活動を本格化。何よりも妊婦さん、ご夫婦、ご家族が、出産後の新たな生活に想いを馳せて、今しかできない時間を大切に過ごす、こんな旅が実現できるよう取り組んでいる。
【妊娠中の方への当館での主な取り組み(一例)】
■「妊婦さんの食生活に注目」= 控えられている食材、調理法を予約段階から細かく伺い、個々に対応(特に多いのは生の魚介類。また水銀量を気にされる方には、個別の魚種にも対応)。また、飲み物については特に気を遣うカフェインレスの飲み物も常備し、温度等にも注意を図り、様々な場で提供している。
■「安心して湯浴み貸切風呂」= 貸切風呂は、あえて温泉を使用せず、敷地内地下100mから汲み上げる地下水を使用。長湯や転倒の危険性を回避するため、夫婦、家族水入らずの時間を愉しめるよう、プランでは計2回の利用特典を設けている。
■「至福の時間を演出」= 施設内エステでは、妊娠中における体内変化とリラクゼーションを研究する機関認定のエステティシャンがマタニティコースを監修。足のむくみや、仰向け、うつぶせになれない事など、妊娠中特有の状態をケアし、「妊婦さんでも受けられる」という喜びと寛ぎを演出。
■「気配り、心配りで安心を」= 個室料亭でのクッションやひざ掛け、お部屋への抱き枕、ベルト式浴衣帯など、妊娠中の不便さを解消すべく、様々な備品を準備。これらを用いながら、体調面、そして出産が楽しみになるような前向きな声掛けにより、安心を感じてもらえるよう、一スタッフだけでなく、滞在中、全スタッフ、全タイミングで取り組んでいる。※妊娠中の方の受け入れおよびエステの利用については、主治医の方への確認、承諾を得ている方を対象とし、万が一に備え、母子手帳の携帯を促し、また近隣の緊急の医療機関の紹介などにより、出発前からの「安心」を提供するようにしている。
<活動期間、具体的成果、その他具体例>
2012年の取り組み開始以来、様々なメディアに取り上げていただいたこともあり、予想をはるかに上回る妊婦さんの宿泊を受け入れている(2014年実績で全利用組数の約13%が妊婦さんを含む利用で、取り組み前の2011年で3%を下回っていたことを考えると、一定以上の成果とニーズに応えられたと考えている)。また、同じく「ライフスタイル=過ごし方」の提案として赤ちゃん連れのファミリー向けのプラン(赤ちゃんプラン)を設け2009年より取り組んでいるが、妊婦さん向けマタニティプランで利用した方には、出産後、赤ちゃんプラン利用の割引特典を提供することで、出産後のリピートに大きく寄与している。ここでもママ・パパの日頃の疲れを癒すべく、設備ではなく人やその知恵により赤ちゃんへの様々なケアをすることで、明日からの子育てへの活力となるようやすらぎの時間の演出に挑戦している。そしてこれらは利用実績もさることながら、全方位的販売からお客様のライフスタイルにあったソフト型プランの提供に転換している中で、まさにニーズに合った人に優しい宿づくりを実感できていることに喜びを感じている。
<その他PRしたいこと>
昨今この業界において話題に上る「事業承継」。経営や資産の引き継ぎはもちろんのこと、宿のコンセプト、運営の方向性、強いては既存のお客様をどのように引き継ぐかも重要な点である。今回の取り組みの中では、新たな顧客層の開拓も重要なポイントであったが、赤ちゃん、そして妊婦さんという明確なターゲットに絞った背景には、事業を承継する次世代がまさにその顧客層世代と合致し、自分やその家族が経験したことや「こんなことがあったら嬉しいのにな!」ということひとつひとつをベースに、身の丈にあった内容で進めていくことが肝要と関上げたまた、スタッフにおいてはすでに経験をしたこと、これからそれをするであろう若年層にとっても身近な将来のものと感じることができたことが、円滑に取り組みが進められている要因のひとつと考えている。この商売、この職業である以上、人を介することで生まれる幸福感が何よりの糧、そしてやりがいであり、今後もさらに柔軟性を持ちながら、体験する人、携わる人双方が幸せに感じられる、まさに「人に優しい宿」を目指していきたい。